「2010年 尖閣漁船衝突事件」
「政策判断検証シリーズ」第1弾
この事件については、今年9月8日に当時の前原誠司外務大臣が、「この決定は菅首相の強い指示によるものであった」ことを公表しています。今回は、その背景と周辺の状況をより詳しく知るために、当時、民主党に所属し、民主党官房長官(当時)であった仙谷由人氏の密命により中国にわたり、中国側との調整に携わった細野豪志衆議院議員に当時の政府内での議論と決定の経過を聞いたものです。
登壇者
- 細野豪志 衆議院議員
- 平井文夫 フジテレビ報道局解説委員室上席解説委員 、(財)創発プラットフォーム 客員主幹研究員
第1弾:2020年9月23日(水) 20:00公開
細野豪志訪中の背景は何だったのか?(創発チャンネルで視聴)
- 細野議員訪中時の民主党政権の状況は? 中国との関係はどうなっていたのか?
- なぜ、仙谷官房長官は当時無役だった細野議員を密使として訪中させたのか?
- ビデオ公開には、中国との間、日本の国会内でどんな議論がされていたのか? 結果として流出したビデオは、どのような影響をもたらしたのか?
- 逮捕されていた日本人の解放の状況と背景は? ビデオ公開と法人解放の関係はどうだったのか?
第2弾:2020年9月24日(木) 20:00公開
中国漁船船長解放の背景と理由 (創発チャンネルで視聴)
- 中国漁船船長の逮捕と解放にいたった背景や法的混乱は?
- 当時の民主党のキーパーソン(仙谷氏、前原氏、菅氏、小沢氏ら)はどう考えていたのか? 判断を下したのは誰か? その理由は?
- 振り返って、他の選択肢はなかったのか? 当時の民主党政権基盤は決断に影響したのか?
第3弾:2020年9月25日(金) 20:00公開
細野豪志訪中時の陣容と中国側とのやり取りは? (創発チャンネルで視聴)
- 細野訪中時に誰が同行したのか? その役割は?
- 交渉相手だった戴秉国国務委員との関係は? どのようなやり取りがあったのか?
- 何が話し合われ、何が合意され、何が食い違ったのか?
- 尖閣漁船事件は、現在にどのような蔭を落としているのか?
【尖閣漁船衝突事件とは?】
2010年9月7日、海上保安庁巡視船によって、沖縄県石垣市尖閣諸島沖の日本領海内で違法に操業する中国漁船が発見された。この漁船に対し、発見した巡視船が退去を命じるも、それを無視して漁船は違法操業を続行し、現場からの逃走時に巡視船「よなくに」と「みずき」に衝突し、2隻を破損させた。
これに対し、巡視船は同漁船に強制接舷し、船長以下の乗組員及び船舶を確保し、石垣島に連行した。その根拠は、日本国内で了解を侵犯し操業していた漁船に対して調査をしようとしたことに対する「公務執行妨害」であり、船長は当事者として、また中国漁船の乗組員は参考人として身柄拘束されたものであった。
当然ながら、中国側は「自国領海内での操業であり、不当な拘束である」と主張し、日中間の緊張は激化し、激しい論争・対立が巻き起こった。
当時、日本側では、与野党を問わず「尖閣諸島は日本固有の領土であり、これらの乗組員に対しては粛々と日本法に則って裁かれるのは当然である」との意見を表明していたが、その後政府は、詳細な理由の説明なく、9月13日には船員14名と差し押さえていた漁船を中国に返還し、更に24日には、「国内法で粛々と判断する」と発言していた菅直人首相と前原誠司外務大臣が国際連合総会出席への外遊で不在で、勾留延長期限も5日残っているなか、那覇地方検察庁が「わが国国民への影響や、今後の日中関係を考慮して、船長を処分保留で釈放する」と発表した。
この判断は、あくまで検察独自の判断として、当時は発表されていたが、実際には菅首相の強い意向と指示によるものであったことは、前原外相(当時)の最近のインタビューにもあるとおりである。
事件後の日中間でのやり取りはし烈で、事件発生の日から4回にわたって北京駐在の丹羽宇一郎大使が中国政府に呼び出され、日本側の措置への強硬な抗議がされたほか、中国人による北京日本大使館や日本人学校への抗議や嫌がらせが、事件後4日間で約30件に達し、「広東省広州市の日本総領事館の外壁にビール瓶を投げつけられた」、「北京の日本大使館近くで車のクラクションが5分間鳴り続ける騒ぎが起こった」、「館や各地の総領事館に抗議文が約10通届いた」、「天津日本人学校に鉄球が撃ち込まれた」などの事象が報告されている。
また、9月20日過ぎには、準大手ゼネコン フジタの社員4人が、違法に軍事施設をビデオ撮影したとして拘束され、国家安全機関の取り調べを受ける事件が起きたほか、中国産のレアアースの対日輸出抑制などの動きが顕在化した。政府は、これらの動きと尖閣漁船事件との関係を「不明」と述べたが、漁船事件の動向に大きな影響を与えたことは間違いない。
同年10月初旬に上海で予定されていたSMAPのコンサートが中止された際は、芸能ニュースとしても大きな話題になったし、2012年には石原慎太郎都知事が「尖閣諸島買収計画」を公表して寄付集めを実施し、最終的には20億円強で日本政府が買収するするなど、その後も長く尖閣諸島を巡る緊張は続いている。
【細野豪志議員の役割と背景】
今回のインタビューは、当時、政府内で無役であったにもかかわらず、仙谷由人官房長官の密使として中国にわたり、日本人の拘束者の解放などについて中国側とやり取りをしており、多くの情報ももたらした。
今回、この細野豪志議員に、当財団客員主幹研究員であり、フジテレビ上席解説委員である平井文夫氏が、訪中の背景、話し合いの内容、その後の日本政府の決定と行動などについて、切り込んでいく。
<インタビューのポイント>
- 細野議員の訪中はなぜ行われたのか? 命じたのは誰だったのか?
- なぜ、細野議員の訪中が必要だったのか?
- 中国に渡った時の細野議員の思いは?
- 誰と会い、何が話し合われたのか?
- 拘留を巡る「法的処理」と選択肢を再検証する
- 政策決定に関わったキーパーソンは? 菅首相、前原外相、仙谷官房長官、小沢前幹事長、岡田元代表らはどう関わったのか?
- 拘留されたフジタ社員4人の問題は、どう影響し、どう解決されたのか?
- 細野議員は、個人としては「どうすべきだった」と考えるのか?
- 現在、そして今後の日中関係への影響をどう考えるのか?
【今後の予定など】
このインタビューに名前が登場する仙谷由人 元官房長官も岡本行夫 元内閣総理大臣補佐官も今は鬼籍に入られてしまいました。しかし、言うまでもありませんが、このお二人は、平成時代の日本の政策決定の重要な場面の多くに関わり、行動した方々です。
その意味で、日本の今後の政策を考えるうえで、彼らの考えや説明が記録されていれば・・と非常に残念です。
この「政策判断検証シリーズ」は、主として平成の時代における重要な政策決定の場面場面で関わられた方々のお考えや解説を、出来る限り記録に残したいという思いでスタートしました。是非、皆様にも関心を持って頂き、フォローして頂ければ幸いです。
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